ごあいさつ
音楽を学ぶということ
音楽を自ら奏し学ぶということは、一体どんなことなのでしょうか。端的に言うならば、「あなた」という固有の身体と感性を介して、世界と循環的に関わる営みなのではないかと考えています。
では「音楽」とは、そもそも一体なんなのでしょう。中世ヨーロッパでは、その調和的原理から、数学や天文学と並ぶ学問として扱われました。歌は祈りや言葉の発露として文学や修辞学ともつながる表現を生み出します。また、体を突き動かすリズムは身体に対する感覚を拓き、踊りや集団的熱狂をも駆り立てます。
現代の様々な社会的様相、あるいは歴史的な記録や記述に思いを馳せることが、まだ見ぬ誰かとその創造的精神によって繋がることを可能にしてくれます。
同時に、ひとり音に埋没する瞬間には、他者からの価値づけや社会を規定する様々な意味作用とも離れて、自分自身が何をどのように見、聞き、感じ、考えようとしているのか、そんな問いかけももたらしてくれます。
世界とどのように関わるのか。尽きることなく、どうにもワクワクしてしまうこの問いをたずさえて、音の遊びと学びを楽しんでいただきたいと考えています。それは一人の人間として「自由」を求めるということでもあると思うのです。あらゆる学びに共通することだと思いますが、音楽もまた、人が豊かに生きることに大きく寄与するものであると信じています。
時間をかけてゆっくりと、音楽がひとりひとりの人生に寄り添うものとなることを願っています。そのお手伝いができることは、私自身にとっても大きな喜びを感じるところであります。
profile
東京を中心に活動するギタリスト/声楽家/作曲家。17,18世紀の声楽アンサンブルを中心に活動する傍ら、ギタリストとして歌い手との共演も多く、バロック音楽からミュージカル曲まで幅広いジャンルを演奏する。
1600年頃に倣った古楽器弾き歌い、クラシック音楽黎明期の日本歌曲再発掘、全国各地の民謡演奏プロジェクト、共演ワークショップやサークルの開催、サウンド・インスタレーション創作、映像/舞台作品の作曲など、横断的な活動を展開する。
日比谷高校、国立音楽大学卒業。東邦音楽大学総合芸術研究所修了。プロジェクトスクール@3331(現アーツプロジェクトスクール)第一期修了。声楽を故日比啓子、勝部太の両氏に師事し、草津音楽祭およびRadziejowice城マスタークラスにてR.カルチコフスキ氏に、仙台バッハアカデミーにてU.ハイルマン氏に学ぶ。また、国立音楽大学在学時には音楽学コースにて故礒山雅氏、庄野進氏に学ぶ。
これまでに東京混声合唱団、二期会等の公演に出演するほか、スーパー・コーラス・トーキョー、Vocal Consort Tokyo、国立音楽大学バッハ演奏研究プロジェクトなどに参加。
現在、Mozart Academy Tokyo、ゆるアコ、Duo Rurie、Duo Galeotti、アンサンブル・フェスティーノ、incontro 各メンバー。東京都大田区出身、青梅市在住。青梅市移住・定住促進コンシェルジュ。青梅幼稚園森の音楽家。
青梅市による移住者インタビュー(2022)